ウンカ発生調査 AIで大幅時短 防除情報きめ細かに 農研機構
農水省は植物防疫法に基づき、全国約3000地点で害虫の発生調査を月2回以上行い、注意報や警報を出す。害虫を調査板の上にたたき落とし、種類を判別・計数するのが代表的な手法だ。実際には都道府県の病害虫防除所が行うが、熟練者でないと判別精度が下がる。職員不足や技術継承が課題となっている。
開発した技術は、この調査板の判別・計数にAIを使う。主要なウンカ類のトビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカについて、雌雄や幼虫・成虫など18に分類して数える。調査板の画像を撮影してAIに読み込ませると、全工程で3、4分で結果が出る。
AIの精度は90%と高い。近年被害の多いトビイロウンカについては95%で、ほぼ人間と同等の精度という。同機構は全国に普及する予定で、他の害虫調査に活用する研究も進めている。同機構は「AIを使えば効率が高まり、調査地点を増やせる可能性もある」と期待する。