農業用ドローンに求められる耐久性と環境配慮を両立した新素材を活用
Terra Drone株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:徳重 徹、以下 テラドローン)は、子会社でインドネシアに拠点を置くTerra Drone Indonesia(以下、テラドローン・インドネシア)が、先進素材の開発企業であるMidwest Composites(以下、Midwest)と共同で、パーム油産業における農業用ドローンに適した機体カバー(以下、本製品)を開発し、正式運用を開始したことを発表いたします。従来のプラスチック製カバーに代わり、製造時において最大73.2%のCO2排出削減(※1)が可能なバイオ複合素材を使用した本製品は、熱帯地域の過酷な農業環境においても高い耐久性を持ち、環境負荷の低減と安定的な現場運用を両立します。
※1 Midwest 調べ

パーム油産業における環境課題とドローン活用の意義
東南アジアを中心に拡大を続けるパーム油産業は、森林伐採や温室効果ガスの排出といった環境課題を抱えています。こうした背景のもと、テラドローンは、ドローンを活用した農薬散布サービスを提供してきました。ドローンでの農薬散布は、人力での散布に比べて作業者の農薬接触リスクを低減し、必要最小限の農薬を効率的に散布することができます。その結果、アブラヤシ1本あたりの収穫量向上にも繋がり、不必要な森林伐採の抑制といった、より広い視点での環境保全にも貢献しています。
こうした取り組みの一環として、テラドローン・インドネシアはMidwestと共同で、農業用ドローンの機体カバーに、再生可能な天然繊維を用いたバイオ複合素材を採用する取り組みを進めてきました。2025年2月に両社間でR&Dに関するMOUを締結し、Midwestが素材開発・成形を、テラドローン・インドネシアが飛行試験・構造評価を担いました。その結果、農業現場で求められる耐久性と環境性能の両立が実現し、このたび正式運用に至りました。
バイオ複合素材製ドローンカバーの特徴
ドローンカバーは、バッテリーやセンサー、GPSなどドローンに搭載された電子機器を含む機体を外部の衝撃や雨水、直射日光から保護する重要なパーツです。特に農業分野では、高温・多湿・強い日射しといった過酷な環境にさらされるため、高い耐久性が求められます。こうした環境下では、従来のプラスチック製カバーは変形やひび割れを起こしやすく、電子機器の故障リスクを高める原因となっていました。
これらの課題を解決するため、再生可能な天然繊維であるEFB(パーム果房繊維 ※2)、ジュート、ケナフなどを原料としたバイオ複合素材が採用されました。この素材は、従来のプラスチックと比べて柔軟性・耐候性・構造強度に優れており、熱帯環境下でも長期間安定して使用することが可能です。ドローンに搭載された電子機器を効果的に保護し、現場での故障リスクを低減するとともに、メンテナンス工数の削減にもつながります。また、製造時のCO2排出量を最大73.2%削減するなど、環境性能の面でも大きな改善が見込まれています。
※2 EMPTY FRUITS BUNCH:パームヤシの実から果実を取り出した後に残る残渣を用いた繊維のこと
代表コメント
<Terra Drone Agri 事業責任者 ウィルソン・オン(Wilson Ong)>
Midwestとの連携により、耐用性と持続可能性を兼ね備えた農業用ドローンカバーを開発することができました。現地の実用的なニーズに応えつつも、グローバルなサプライチェーンの一部を担うパーム油産業では、生産段階からの環境配慮が今後ますます求められると考えています。こうした取り組みを通じて、パーム油生産事業者が持続可能な形での生産を目指す際の一助となることを期待しています。
<Midwest Composites CEO セトゥ・ラージ・エム(Sethu Raaj M)>
農業分野では、性能を犠牲にせずに持続可能性を高めることが求められています。バイオ素材をドローンカバーに活用することで、従来の素材を超える耐久性と機能性を実現することができました。テラドローンとの連携は、持続可能で高効率な農業への移行を後押しするものです。
テラドローンは、持続可能性と実用性を両立した技術の導入を通じて、パーム油産業の環境負荷低減と効率化に貢献してまいります。
Midwest Composites
Midwest Compositesは、持続可能性・性能・業務効率の向上を支援する、先進複合素材の開発に特化した企業です。マレーシア、アメリカ、日本、インドなどで20年以上にわたり、R&D、製品開発、製造に携わってきました。素材開発から製品化まで、環境負荷を抑えながら、現場の生産性を高める素材と技術を業界に提供しています。
詳しくはhttps://www.midwestcomposites.com.my/
Terra Drone株式会社(テラドローン)
テラドローンは、「Unlock “X” Dimensions(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)」というミッションを掲げ、ドローンの開発及びソリューションを提供しています。また安全かつ効率的なドローンの運航を支援するための運航管理システム(UTM)の開発・提供や、国外を対象にした空飛ぶクルマ向け運航管理システムの開発にも注力し、幅広い産業に貢献しています。
テラドローンは、測量、点検、農業、運航管理の分野で累計3000件以上の実績を誇っています。また、当社グループを通じて提供されるUTMは、世界10カ国での導入実績があります。こうした成果により、Drone Industry Insightsが発表する『ドローンサービス企業 世界ランキング』で、産業用ドローンサービス企業として2020年以降連続でトップ2にランクインし、2024年は世界1位を獲得しました。
テラドローンは、ドローンや空飛ぶクルマの普及を見据え、“低空域経済圏のグローバルプラットフォーマー”として社会課題の解決を目指します。
詳しくは http://www.terra-drone.net
Terra Drone Indonesia(テラドローン・インドネシア)
テラドローン・インドネシアは、インドネシアを拠点とするTerra Drone株式会社の子会社で、東南アジアにおいて測量・点検・農業分野でサービスを展開するドローンサービスプロバイダーです。ドローンによるマッピング、モデリング、検査、モニタリング、農薬・肥料散布に加え、ドローンを活用する企業向けにトレーニングやコンサルティングも提供しています。
また、インドネシアを中心に、農薬散布やマッピングといった農業向けドローンサービス「Terra Agri」を提供しています。農業事業においては、これまでに累計200,000ヘクタール以上の面積で、1日あたり最大4,000回の飛行を実施。高精度の農薬散布により、最大30%のコスト削減を実現し、150機以上のドローン普及の実績があります。
詳しくは https://terra-drone.co.id/
本件に関する問い合わせ
Terra Drone株式会社
メール: pr@terra-drone.co.jp
HP : http://www.terra-drone.net
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ