まず子牛の生産段階では、生まれる子牛の頭数の多い少ないがあります。牛は草を必要とするので、その土地の天候と降雨量に大きく影響を受けます。また、牛の場合は増頭や減頭にも長い時間がかかることから、飼養頭数の増減は一定のサイクルが形成されます。穀物肥育牛の場合は餌となる穀物相場の影響を強く受けます。
さらに、食肉工場の事情もあります。新型コロナが流行した当時のアメリカでは、工場従事者の感染による欠勤などで工場稼働率が下がり、牛肉供給量が制限されたことから相場が高騰した時もありました。輸送についても影響があります。アメリカ西海岸の港湾ストライキが長引くと、アメリカ産牛肉の輸出先市場は大混乱となり、相場は乱高下します。さらに、輸入関税や為替の影響も大変大きいものがあります。
今日はここで中国の牛肉輸入拡大による影響を見てみます。GDPが世界第2位となった中国では牛肉消費が増えて、輸入量が急拡大しています。アメリカ農務省の「World Markets and Trade」によると、2012年に9万9000トンだった中国の牛肉輸入量は、22年には350万2000トンとなりました。世界の総輸出量に占める中国の輸入シェアは12年に1.2%だったのが22年にはなんと29.1%になりました。昨今の牛肉国際相場高騰の要因のひとつは、中国の影響だったと言えるでしょう。