[論説]23年家計調査 動向捉え販売に生かせ
調査は、全国約1万世帯の家庭を対象に、家計の収入・支出などを毎月調べて公表している。品目別の支出金額や購入数量などの全国平均の他、都市別、世帯収入別にも算出するため、スーパーや外食などでは商機をつかむために結果を分析している。毎年、ニュースで取り上げられる「ギョーザ支出額日本一は静岡県浜松市」という話題も、同調査が基になっている。
物価変動を加味した2人以上世帯で見ると、23年の特徴は、外食が17・6%増の約17万円となり、2年連続で2桁増となった点。食品値上げの影響で伸び率は縮小したが、支出額はコロナ前の19年の水準まで回復した。
食事の簡便化や時短につながる総菜などの調理食品は、4・6%増の約15万円と過去最高となった。調理食品の購入が多い単身世帯や共働き世帯の購入は、今後も増加傾向が見込まれているだけに、業務・加工向けの需要に対応した産地づくりを進める必要がある。外食と調理食品の合計は約33万円と食品全体の3分の1を占めるだけに、産地にとって商機となる。
一方、生鮮品は苦戦した。食品全体の支出額が5・7%増だったのに対し、生鮮野菜は1%増、生鮮果物は3・4%増と伸び悩んだ。購入数量はそれぞれ2・7%減、4・5%減。生鮮品は豊凶によって相場変動が大きく一概に低迷とはいえないが、品目別の購入数量の増減が、10年前と比べてはっきりしてきた点に注目したい。購入量が増えたのは、26年度から指定野菜に追加されるブロッコリーが21%増、機能性や手軽さが評価されるキウイフルーツは34%増となった。一方、リンゴは32%減、ミカンは33%減と購入量は落ち込んでいる。
一方、米の支出額は前年比2・9%増の2万397円と2万円台まで回復したが、購入数量は1・3%減の約57キロで、3人家族で年間1俵(60キロ)も食べていない。ところが、パックご飯を含む「おにぎり・その他」の支出額は14%増、冷凍米飯などの「他の主食的調理食品」も6%増で、2品目の合計は2万5040円と米を上回った。同じ米でも手軽さや保存性が売りの米飯商品が伸びており、産地は米離れを嘆く前に、消費動向を見据えた商品展開が求められている。データを活用した販路拡大につなげよう。