[論説]営農講習会のあり方 女性が学べる場もっと
受講対象を女性に絞る効果は、①気軽に質問できる環境づくり②同じ立場で学び、交流を深める③経営参画への意識が高まる――ことにある。
生産部会や生産組合の活動は、経営主である男性が出席することが圧倒的に多い。まずは、男性主体の生産部会の意識を変え、対等に女性も参加でき、気軽に意見を交わせる風通しの良い環境に変えることが先決だ。
近年は女性が主体となる経営体が各地で増えている。だが、経営に参画する女性でさえ「家を出にくい。出席依頼は個人メールでなく、家族に見える郵送にしてほしい」という声もある。女性活躍を巡り、目に見えない「壁」はまだまだ存在する。会合などに出席しても、圧倒的多数のベテラン男性の中で女性は1人という場面は多く、発言したり質問したりするのは、かなりの勇気がいる。そうした状況だけに過渡的な措置として、女性を対象とした場づくりが求められている。
男女共同参画社会基本法(1999年)の制定から25年。本来、学びの場は年齢や性差、職種などに関係なく、多様な人が集うのが理想的だ。
だが、社会の仕組みや意識が変わるまでには時間がかかる中で、現在は対象を絞って参加する場を意識的につくる必要がある。仲間と技術を磨き、経験を重ねたい。
女性たち自身が学びの場を企画し、実践する例もある。JAグリーン長野女性部若穂総支部ぶどうクラブが今年、初めて開催した「凍霜害対策講習会」に着目したい。発案したクラブ長の池田昌子さんが講師となり、燃焼に使う資材の扱い方やポイントなどを実演しながら説明した。
農業は気候変動、生産資材の高騰、不安定な国際情勢――など先が見通せない状況が続く。自立した生き方と積極的に学ぶことを抜きにして困難な時代は乗り切れない。積極的に学び、実践することは大切なことだ。
自治体やJA、生産部会は女性活躍を意識して運営を進めるべきだ。そのステップとして、女性向けの各種営農講習会を企画してはどうか。生産部会や生産組合は、会員減少に悩むところも多いだろう。講習会の内容が充実し、女性参加者の満足度が高まれば、生産部会や組合の活性化につながる。誰もが気兼ねなく意見を出し合える組織、地域をつくろう。