
室温を10度ほどに保った巨大な空間には、玄米の匂いが立ちこめる。30キロ紙袋やフレキシブルコンテナバックが、高さ約5メートルまで積み上げられた威容は、「米不足」を解消する迫力を感じさせる。
全農は18日、放出の第一弾としてトラック1台分となる400袋(12トン)の「コシヒカリ」をトラックに積み込み、県内の精米工場へ届けた。
倉庫出発からしばらくして、トラックが工場に到着。検査の後、作業員が「張込み口」と呼ばれる原料投入口に次々と玄米を流し込んでいった。備蓄米は数日以内に精米され、販売先へと順次出荷されていくという。


全農は、落札した備蓄米を可能な限り早く供給する方針で、米卸などの流通業者へ引き渡しを急ぐ。藤井暁米穀部長は、「準備が整ったものから順次、なるべく早いタイミングで届けられるようにしたい」と話す。
備蓄米の一部は既にスーパーの店頭に並んでおり、本格流通は4月上・中旬になるという。


(いずれも埼玉県内で=画像の一部を加工しています)
1995年に施行された食糧法で「米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え、必要な数量の米穀を在庫として保有すること」と定められ、国は100万トンを適正水準として備蓄する。
国は政府備蓄米をどのように確保しているのか。国の資料をさかのぼると、備蓄方法が「棚上げ方式」に切り替わった2011年以降、作付け前の事前契約を基本に、国が産地から毎年20万トンを目安に買い入れている。買い入れた米は5年間保管した後、非主食用で販売する。