
催事初日には、万博会場のシンボルとなった大屋根リングを背に、世界農業遺産の認定地域である宮崎県高千穂町の「夜神楽」を披露した。
催事会場に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、高さ約2メートルの巨大な木おけ。和食に欠かせないしょうゆの仕込みに使うものだが、プラスチックや金属製のタンクに代わった現在では珍しい存在だ。途絶えかけていた木おけ作りの技術を、「木桶(きおけ)職人復活プロジェクト」に参加する各地の蔵元たちが継承し、よみがえらせた。

日本食の代表格「和牛」は、和装で肉を切り分ける「着物ブッチャー」の渡邊麻莉夏さんがPRした。ステージ上で長い包丁を大胆に振るい、10キロ以上あるランプをカット、霜降りの断面を客席に見せると拍手や歓声が上がった。
最前列でショーを食い入るように見ていた、米国ジョージア州から訪れたポール・ミルズさん(45)は「和牛は部位によって食味が違うと聞いて勉強になった。自宅の冷凍庫に入っている和牛のイチボを夏に食べるのがより楽しみになった」と興奮していた。
この他、茶やイ草、ジビエ(野生鳥獣の肉)といった日本の農畜産物の「多様性」を展示で紹介。調理の実演や試食の提供などで魅力を伝えた。
(郡司凜太郎、撮影=山田凌)



