愛媛県の酒造メーカーが中心となって、地元の若者のアイデアを結集し、県産かんきつを使ったリキュール「推し柑(かん)」を開発した。規格外品を利用し、飲みやすさを求める大学生らの意見を参考に果汁を50%と設定。ラベルに若者の目を引くようオリジナルのアイドルのイラストを採用するなど、若い人をターゲットにした商品に仕上げた。
若手農家らとコラボ 大学生の声反映
リキュールを製造したのは、桜うづまき酒造(松山市)。愛媛県内の若手農家や農業に関心のある若者が参加するグループ、「きりぬき」にコラボ商品を提案。規格外のかんきつを活用した酒を検討することになった。
若者に受ける酒を目指し、同社は地元の松山大学に協力を打診。複数の学生から意見を聞き「果汁が多いと飲みやすい」などといったニーズを吸い上げた。
リキュールは、にごり酒をベースに、愛媛県産河内晩柑と伊予カンの規格外品から取った果汁を使用。かんきつの甘さと苦さを重なり合わせた味に仕上げた。企画に携わった同大4年の西村和真さん(21)は「廃棄されるかんきつが、お酒に生まれ変わる手伝いができたのは光栄」と話す。
同社で開発を担当した和田あかねさん(38)が「アイドルのように推し(ファン)が増えてほしい」と願い自らイラストを制作。未経験ながらも工夫を凝らし、ステージにアイドルが立つイラストのラベルを作り、商品名は「推し柑」とした。和田さんは「あまりお酒をたしなまない人も楽しめる味。多くの人に手に取ってほしい」と期待を込める。
アルコール5%で、1本300ミリリットル。935円。松山市内の商店街、土産物店などで販売している。