[論説]JA全国大会の意義 協同の価値 発信の場に
JA全中は6月、全国大会議案の組織協議案を決める。組織協議を経て、10月18日の全国大会に向けて大会の議案を決める。
国会では、“農政の憲法”である食料・農業・農村基本法の改正に向けた審議が進む。全中の山野徹会長は「JAグループが主体性を持ち、見直し後の基本法の実践、実現に取り組んでいく」と強調する。新基本法が描く将来像の実現へ、JAグループの果たす役割は大きい。
輸入に依存する作物の増産や国内資源の活用など、中長期的に取り組まなければならない課題は多い。担い手や農地の維持・確保に向け、前回大会で掲げた「次世代総点検運動」の実践が欠かせない。持続可能な農業へ、環境との調和も問われている。
組合員だけでなく、准組合員など地域住民の暮らしを支えるのもJAの使命だ。営農や経済、信用、共済、医療、福祉、介護、葬儀など幅広く展開するJAの総合事業の強みはどこにあるのか、いま一度原点に立ち返りたい。JAはどうあるべきか、その道筋が見えるはずだ。全国大会で問いかけ、JAの価値を正しく内外に発信しよう。
国民の命を支える食料・農業、農村を守るには、JAの組織基盤が強くなければならない。だが、少子高齢化で農業者の減少は続く。JAの大規模合併も進み、組合員との関わりが希薄になることも懸念されている。今こそ一歩を踏み出し、組合員との対話を深め、日々の悩み事を通してニーズを把握し、解決策を示す組織となる必要がある。
JA職員の人材確保も重要な課題だ。信用・共済事業の環境は厳しいが、人件費など事業管理費の圧縮で利益を確保するのは限界があり、離職の一因にもなりかねない。誰もが働きやすい職場環境の実現と、収益向上をどう進めるのかが問われている。
働きがいがあり、働きやすい職場は「プラチナ企業」と呼ばれている。JAがプラチナ組織として輝くためには、男性優位社会から、女性が意思決定に携わるジェンダー平等組織に変わる必要がある。
全国大会決議の実践初年度となる2025年度は、国連の国際協同組合年。世界各地で紛争が続き、地震や火災、集中豪雨など命を脅かす災害も頻発する。先が見通せない時代だからこそ、協同の力が求められている。JAの出番はこれからだ。