ハウスで入念に きれいなダイコンで選手を後押し
ハウス2棟の中に広がるのは、鮮やかな緑に色づいたダイコンの茎葉。レース前日、元日の収穫まで、東京都国分寺市の野菜農家で同大リーダー部OBでもある小坂良夫さん(66)と息子の知儀さん(33)が入念に管理する。
葉付きのダイコンを両手に握って振り上げ、大声で歌い踊るのが「大根踊り」の真骨頂。露地ではなくハウスで栽培するのは学生時代、箱根本戦での応援経験もある良夫さんが「虫食いや霜焼けのない、きれいなダイコンで選手を応援してほしい」との思いを込めているからだ。3・4アールで栽培する。
後輩から依頼を受け、15年ほど前に栽培を開始。10年前の本戦出場時は200本を提供した。その後も毎年、予選会前に種をまき、栽培を続けてきたが、本戦出場からは遠ざかる年が続いた。
念願の本戦が近づく中、良夫さんは「自分たちにとって、ダイコンはいわば“血と汗の結晶”。選手や応援団の頑張りの後押しになればうれしい」と期待を寄せる。
知儀さんも同大OB。陸上競技部の駅伝ランナーだった。在学中、チームは本戦に出場するも自身の出場はかなわなかった。「ランナーにとって周囲の応援は大きな力。ダイコンを通じてエールを届けたい」と願う。

照準は元日ぴったり 団員ら栽培
キャンパス内でダイコンを栽培し、元日ぴったりに仕上げる「厚木モデル」を目指せ──。神奈川県厚木市の同大キャンパスで団員や教員が今年、そんな挑戦をしている。
発案したのは、リーダー部長と全学応援団の団長を兼務する同大4年の加藤俊弥さん(22)。団長に就き、「農大らしい応援」を改めて模索し、ダイコン栽培に行き着いた。
栽培に全面協力する農学科園芸学研究室の高畑健教授は「本戦前日の元日までに、適度な太さに仕上げるのが最大の課題」と話す。種まきの時期を10月下旬から2週置きにずらした上で、マルチや寒冷しゃ、防虫シートを使った複数パターンで460本前後を栽培。1日に、形状の優れたものを選ぶ。
厚木キャンパスに通う加藤さんら団員は授業や練習の合間を縫って草刈りに出た。加藤さんは「先輩方と自分たちが栽培したダイコンで、選手を力づけたい」と意気込む。
