■上田市「稲倉の棚田」
「日本の棚田百選」に選ばれた稲倉の棚田に、色とりどりのテントが立ち並んだ。春の田植え前と秋の収穫後、農閑期の棚田を活用して年2回開く「棚田CAMP(キャンプ)」だ。
埼玉県から家族で訪れた池田洋さん(49)は「インスタグラムで棚田キャンプを知って、秋に続いて2回目の参加。棚田キャンプは他になく、特別感がある」と笑顔で話す。
今年は初めて、インスタグラムでフォトコンテストを企画した。稲倉の棚田保全委員会の玉崎修平さん(48)さんは「キャンプ参加者がインスタグラムに投稿することで、稲倉の棚田の魅力が広がっていく」と狙いを話す。
久保田良和委員長は「キャンプは、家族連れや若者の参加が多い。彼らが棚田に興味を持ち、保全活動に参加してもらえれば、次世代に棚田を引き継げる」と期待する。
■小諸市「宇坪入の棚田」

小諸市の宇坪入の棚田は「日本の棚田百選」の一つ。この棚田を保全しようと昨年12月、信州大学と佐久大学、長野大学の学生9人が「むすび」を設立した。
最初のイベントとして考案したのが、棚田で開く公募写真展。むすびの代表で、信州大学3年の有賀聖那さん(20)は「棚田の存在を知ってもらい、まずは、作品を見るために足を運んでもらおうと企画した」と話す。
写真は、インスタグラムと郵送で募集。県内外から140作品が集まった。
写真展には応募者や家族連れ、大学生グループなど2日間で約150人が訪れた。松本市の大学生は「写真展の募集で初めて、宇坪入の棚田を知った。田植え後の棚田や風景も見たいので、また訪れたい」と語った。
有賀さんは「この風景を残していくには、若者が関心を持つことが第一歩」と説明。むすびは、継続して若者が足を運びたくなるイベントを考案する考えだ。