スプレーには、唐辛子の辛味成分カプサイシンが2%含まれており、近距離で熊の顔を狙って噴射すると逃げていくという。酪農学園大学(北海道江別市)と共同で行った実証実験でも、噴射された熊が逃走する効果が確認できた。
これまで林地に散布して忌避効果を狙うタイプの国産品は存在したが、至近距離で使用できる製品は輸入品に限られていた。輸入品は円安の影響で価格が高騰し、1本1万~2万円のものが多い。
「熊一目散」は、スプレー単体で9900円、専用ホルダー付きでも1万4080円と安価に設定。唐辛子栽培の知見を生かして、2022年から開発を始めた。
使いやすさにも配慮した。従来の輸入品は構造が複雑で、高齢者には扱いづらく、誤噴射のリスクもあった。新製品は、国内の一般的な日本のスプレー製品と同様のノズル部品を使い、キャップを付けることで安全性を高めた。
開発した同社の奥谷陽さんは、国産でありながら海外製品に劣らない性能で、ノズルの操作がしやすく、求めやすい価格であることが人気の要因とみる。「安心して使える国産品。熊対策の最終手段として携帯してほしい」と話す。製品はアマゾンや各地のホームセンター、資材店で購入できる。
(溝口恵子)