北海道に梅雨前線停滞 気象庁「珍しい」 高気圧ぶつかる
気象庁によると、梅雨前線は通常、湿潤で温暖な太平洋高気圧と、湿潤で冷涼なオホーツク海高気圧の境界に形成される。太平洋高気圧が北へ張り出すにつれて、前線も北へ移動しながら東北付近で終息する。そのため、北海道に「梅雨はない」とされ、同庁は東北以南で梅雨の入り明けを発表している。
一方、北海道でも半世紀以上前から「梅雨に似た」気象現象が断続的に発生していた。
札幌管区気象台で気象防災部長を務めた藤川典久・東京管区気象台長らによると、北海道では1960~80年代に梅雨のような現象が4年に1度発生していた。これらは数日間で終息する「蝦夷(えぞ)梅雨」と呼ばれたが、90年代から2017年ごろまで2年に1度に増えていた。
さらに今年は、太平洋の海面水温が高温化してきた近年と比べても高く、気象庁の観測によると、昨年は沖縄近海にあった27度帯が本州の太平洋岸に到達。太平洋高気圧の上に大陸からのチベット高気圧も張り出し、1898年の観測史上最高を記録した7月の高温につながった。
こうした気象環境を背景に、梅雨前線が北へ押し上げられ、北海道付近に停滞。東北と北海道の日本海側で大雨が続いた。2日現在も前線が大陸から北海道付近に延びており、日本海沿岸部を中心に雨が続いている。
藤川台長は「昨夏は(日本に冷夏をもたらすとされる)エルニーニョ現象が起きたにもかかわらず、日本は猛暑になった。定説に当てはまらない気象現象が頻発している」と指摘。「北海道の気象環境もこの先数十年で大きく変わる可能性が高い」とし、梅雨を含む豪雨の多発や降雪量の変化も想定する。
(佐野太一)