

6月中旬、町立大栄小学校に給食センターで調理されたカレーが届いた。センターは町内の小中学校4校と子ども園に毎日1400食を供給している。
2年1組の教室にカレーの香りが広がった。「このカボチャはおばあちゃんが作ったんだよ」。山崎千尋さん(8)が皿を手に誇らしげに言った。
カボチャ、ナス、タマネギなど6種の野菜入りカレーの具は全て、女性会の北条支部と大栄支部に設けられた学校給食会が栽培した。約40人の会員は年間に40種前後の野菜や果実、みそや焼き肉のたれを作る。大栄支部の千尋さんの祖母、美幸さん(73)は「孫の自慢になれてうれしい」と声を弾ませた。

多くの自治体は、献立を決めてから食材を発注するが、同町は学校給食会が栽培した旬の野菜を基に献立を組む。例えば8月の場合、6月末までに両支部で出荷予定をまとめ、ファクスで町に連絡。後日、両支部の会長と同センター栄養教諭の竹内聰さん(59)が話し合い、量を確定。町は学校給食会の希望価格で買い入れ、不足分は青果店から仕入れる。
給食向け野菜を作る畑には子ども園の園児が「きゅうしょく畑」と手書きした看板44基を設置した。木製なので朽ちたものも多いが、収穫体験で児童・生徒を受け入れる際、園地に設置して紹介する。
会員のほとんどは当初からのメンバー。高齢化し、人数も減ったが、80代になって腰が曲がっても給食には出荷する人がいる。22年前、町に地元の野菜を使ってほしいと訴えた北条支部学校給食会会長の淀瀬千賀子さん(70)が言った。「子どもたちの成長をお手伝いできている誇りが活動を支えています」