「復活しろー!」。愛知県安城市の大見颯汰さん(23)は、この思いで木づちをあぜに振り続けた。地震の影響で低くなったあぜ。新たに土を盛り、足で踏み固め、つちでたたいて締める。同市の平川龍和さん(23)は「地震の時にお世話になったので、僕らなりの恩返し」と、再訪の動機を語った。
再訪した7人は同県内の中学校や高校の同級生。昨年の大みそかに車で金沢市へ8人で旅行し、白米千枚田に着いたのは、地震発生の約30分前だった。道路が寸断され、当時は観光客ら約80人が駐車場に孤立した。

水道、電気、ガス全てが止まった。愛耕会の白尾友一さん(60)と妻の真紀子さん(40)は、自宅からプロパンガスと釜を運び、駐車場で炊き出し。8人は、数百メートル先から湧き水をくんでくる役目を引き受けた。また、隆起した海岸からサザエ約100個を拾ってきた。知人の車で帰る1月5日まで、支え合った。
白米千枚田の修復は国の災害復旧事業のため、関係者しか携われない。愛耕会は、一部をボランティアやオーナーが関われるようにした。真紀子さんは「いろんな方々が修復に携わり、愛着を持つ人が増えれば、より良い形になるのでは」と見込む。
愛知県知立市の水野翔太さん(24)は「思った以上に重労働。7人で復活の力になれて良かった。実家が兼業農家なので、千枚田を見た時に、農業に携わる仕事がしたいと思った」と話した。