「大谷石の米蔵」交流拠点に 農家ら市民団体が活用 栃木・下野市(動画あり)
■JA施設が直売所、ホテル、パン店に
石蔵は1941年、米の保管向けに建てられた。大谷石を全面に使う。同農協が89年に移転するまで購買店舗などがあり、多くの人が集まる場所だった。
シモツケクリエイティブの理事で、同市のイチゴ農家・伊澤敦彦さん(40)らが、かつてのにぎわいを取り戻そうと石蔵の活用を思い立った。シモツケクリエイティブは石蔵を買い取り、建築家やデザイナーらと2階建て、延べ床面積約420平方メートルの施設に1年ほどかけて改装した。1階は、市内約10戸の農家が育てた野菜が買える直売スペースや園芸用品、パン店の他、ホテルもある。2階はイートインや工作など多目的に使える。
訪れた茨城県下妻市の自営業、本橋隆一さん(72)は「こんな立派な石蔵が残っていたとは。まるでヨーロッパの小さな村のよう」と驚く。
同地区出身の伊澤さんは高校卒業後、東京都内で広告デザインなどを手掛け、2011年に家業を継ぐためUターンした。幼少期には当たり前の存在だった石蔵が、貴重な存在だと気付き「石蔵をシンボルに、にぎわいを取り戻したい」と決意した。
伊澤さんは、14年から毎年開いた「吉田村まつり」で多くの人が訪れ、地域住民からの信頼を獲得。18年に市やJAなどでつくる吉田村アグリツーリズム推進協議会を発足し、オープンに向けて準備を進めてきた。
イチゴ農家の傍ら、石蔵に隣接する元農協支所の建物でイタリアンレストランも経営する伊澤さん。「この地区に欲しかったレストランやパン店を自分でプロデュースすれば、都会の人や地元の人も喜んでくれる」との予想は当たった。
今後は、グランピングのブースや近隣農家での収穫体験などの窓口にしていきたい考えだ。
伊澤さんは「石蔵の店舗を通じて地元の人の生活を支えながら、地域間交流の場にしたい」と力を込める。
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https://www.youtube.com/watch?v=Bs9UPER_xl4