市中心部にある創立151年の出町小学校。4時間目の授業が終わると、5、6年生168人がランチルームに集まり、配膳を始めた。同校には学年を超えて一緒に食べる伝統がある。月の兎(と)を模したハンバーグに「かわいい」「おいしそう」の声が響いた。
根菜や葉茎菜の生産が盛んな同市は、給食の市内産率が5割を超え、二十四節気に合わせた季節感あふれる献立を実現。ご飯は県内全校で統一されたブランド米「富富富」だ。
同市では1997年、女性農業者が「地元の子に地元の農産物を食べさせたい」と協議会を作り、給食の地場産化を進めた。メンバーの高齢化で安定供給が難しくなった2016年、JAとなみ野が生産者と学校給食センターとの調整役になる新しい連絡組織を発足。県と市も加わる地域一帯型の供給体制が整い、食材数は30品目から40品目に増えた。
「献立にあう農産物を不足なく供給するのは大変。でも、やりがいがある」。JAの給食担当、藤崎美悠紀さんが言った。
同市では19年から全市民を対象に、野菜から食べることで血糖値の上昇を抑え生活習慣病を予防する「となベジプロジェクト」も進行中。これも地消地産につなげている。
給食時間が始まった。給食が大好きだから給食委員長になった6年の川田琉花さんは「飲食の仕事をするのが夢」だ。給食と同様、安全でおいしいものを作り、笑顔と幸せを広げたいと思う。