[農のミライ]飼料安く 快適性高く 岐阜県立加茂農林高校
「私たちだからこそできる新たな挑戦を通して、飛騨牛に貢献したい!」。生産科学科、飛騨牛研究班10人は、このような思いを胸に集まった。
近年、飼料費の高騰が畜産経営を圧迫している。その課題を解決するため、低価格で飼料米を含む飼料給与に挑戦した。この飼料の給与は岐阜県初であり、独自の給与調査の結果、「嗜好(しこう)性に課題がある」と考え、飼料会社と連携して改良した。改良後は飼料の総摂取量が増加し、嗜好性の改善を実感できた。
そして、この飼料を給与することで、飼料価格の削減と肉質成績の向上を実現した。農家の方が安心してこの飼料を給与できるように今後も調査を続けていきたい。
今後の畜産業はアニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)への配慮がこれまで以上に必要になると感じている。そこで、アニマルウェルフェアへの配慮と生産性向上の両立を目標にした。そこで、1頭当たりの飼育面積と飼槽幅を変更し、飼育面積の拡大が生産性の向上につながるのか調査した。結果、飼育面積を最も広くした牛房の増体量が良くなった。そして、ストレスの少ない飼育方法が増体量の良くなった理由と結論付けた。牛に与えるストレスと発育との関連性は他の機関でも調査されている。
今後は、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)の進歩により、「良好な牛の発育に大切なことは何か」、これまで見えなかったものが可視化される時代になると考える。農家も実践できるよう、アニマルウェルフェアへの配慮が生産性の向上につながることを可視化していきたい。
1月16、17日に開かれる第8回和牛甲子園では、同じ志を持つ高校牛児との交流を通して、飛騨牛の魅力を全国へ発信したい。
(岐阜県立加茂農林高校生産科学科3年・渡邉煌)