大雪警報が6日未明まで発令された愛媛県南予地方のかんきつ産地では、ハウスの倒壊が発生した他、果実や樹体への着雪による影響が懸念されている。
松山地方気象台によると6日午前9時現在の積雪の深さは西予市宇和で16センチ。一旦寒気は緩むものの、7日未明から8日にかけて再び大雪になる予想だ。
愛媛県八幡浜市のJAにしうわ管内のかんきつ農家は、雪の予報を見て、「せとか」などの収穫を前倒し備えていた。4日に雪が降り出してからは、足を滑らせる危険があるため急傾斜地の園地に出向くことはせず、ハウスの暖房機などを点検していたという。
だが、大雪から一夜明けた6日、雪の重みでかんきつ「せとか」のハウスが倒壊。ハウスの下で15~20年生の木も複数折れた。農家によると、他にも市内の複数箇所で倒壊したハウスがあるという。週末も大雪になる可能性があり「露地の木も折れていないか心配」と不安をにじませる。
同JAでは、路面の凍結や通行止めで通勤できない職員が続出している。「既に3日間、雪が降り続いている。出荷場へ収穫した農作物を運べず、予定を変更したいという連絡も届いている」と話す。現地の被害調査は、週明けになる見込み。
宇和島市が管内のJAえひめ南は、春先まで収穫を控えた晩かん類が残っている。JAによると、「鳥よけに展張しているネットが雪の重みでつぶれたり、着雪で果皮障害が出たりする可能性がある」と言う。大雪はさらに続く恐れがあり、「収穫・出荷できない状況が長引くかもしれない」と懸念する。
(溝口恵子)

降雪や低温が続くビワの産地・長崎市で、3ヘクタールでビワやかんきつ類、桃を作る同市の森果樹園。ビワ「なつたより」を栽培する簡易ハウス内で、暖房器具のダクトの送風口を天井に向け、ハウス屋根に積もった雪を溶かして、ハウスが倒壊しないように懸命な対策を続けた。4日夜から6日朝にかけて100リットル以上の燃料を消費したという。代表の森純幸さん(51)は「暖房をつけっぱなしにしている。燃料も高騰していて、費用がかさむ」と話す。
かんきつの産地広島県三原市。佐木島は雪は降っていないが、低温が数日続き、この先も寒波の影響が懸念される。レモンやはるみなどを栽培する御畑完治さん(73)は「年末からずっと水不足でただでさえかんきつが弱っている中で、寒波がきた。果樹は低温に弱く、さらに果樹が弱ってしまうと心配だ」と不安を募らす。
この他、複数の地帯でハウスを加温したり、露地野菜に防寒ネットをするなどで対策を続けている。
気象庁によると、北日本の上空約5000メートルに氷点下42度以下の強い寒気が流れ込み、日本付近は9日頃にかけて強い冬型の気圧配置が続き、上空には断続的に強い寒気が流れ込む見込み。同庁は、今後も、普段雪の少ない北日本から西日本の太平洋側でも内陸を中心に大雪となり、平地でも積雪となる所があるとして、農業用施設や農作物の管理、除雪中の事故などに厳重な警戒を呼びかけている。
(藤平樹)