昨年11月から2月7日までの雪害調査では、北海道が死者・負傷者の合計が152人で全国最多だった。うち死者数は8人。道庁によると、7人が除雪中に屋根から転落した事故とみられる。
青森県では死者9人。負傷者も合わせると149人で、昨年度の人的被害人数(30人)の5倍近い被害だ。
屋根からの転落や、農業用水路が雪で覆われて道路や畦畔(けいはん)との境界がわからなくなり、転落してしたとみられる事故も発生している。1人で雪かきをしていたとみられる事故も目立つ。
地元警察や近隣住民によると富山県小矢部市で5日、農業用水路で倒れていた女性(80)が消防団員によって発見された。用水路は上蓋がなく、高さ1114センチ、幅236センチ、水深は当時約10センチだった。女性は1人暮らしで、積雪が急激に増えた4日から行方不明になっていたという。現場近くにスコップもみつかっており、雪かき中の事故とみられる。
新潟県十日町市で3日、山間部で1人くらしの男性(68)が、自宅の向かいにあるかまぼこ型の車庫の脇で雪に埋もれた状態で亡くなっていた。雪が滑り落ちてくる構造の屋根で、遺体の近くには雪かき機があった。死因は低体温症だった。
富山県上市町で8日、自宅玄関から3メートル離れた場所で男性(63)が亡くなっていた。死因は病死。落雪や転倒などではないとみられるが、近くにスノーダンプなどがあった。警察によると、除雪中に発症したかは不明。
いずれも1人で除雪作業などをしていたとみられる。気象庁によると、今週は高気圧が東シナ海へ移動して、日本付近の冬型の気圧配置は次第に緩む。積雪が多かった地域などでは融雪が進み落雪などが発生しやすく、除雪中の事故にさらに警戒が必要となる。

国土交通省が呼びかける雪下ろし安全10箇条(=表参照)など、除雪対策には「作業は2人以上で行う」ことが鉄則だ。富山大学地域連携戦略室の塩見一三男教授は「共助の除雪を指摘してもすぐに体制は作れないため、まずは隣近所で声掛けしてほしい」と促す。
また、短時間に積雪があると用水路がどこにあるかが分からなくなるため、注意が必要だ。2月の寒波は幅広い地域で降雪があり厳しい冷え込みとなったため、平地での歩行中の転倒などに警戒が求められるとしている。
(尾原浩子、藤平樹)