2月上旬からの再度の降雪で雪に埋もれた畑。兵庫県出石町で白ネギ、キャベツなど3ヘクタールで野菜を栽培する小川恭弘さん(34)は「雪で埋もれていると、手で掘り出さないといけない。雪をかきわけての収穫に時間がかかっている。このままでは出荷が遅れてしまう」と不安を口にする。
最近はヒヨドリの食害が多く防鳥ネットを被せたいが、積雪で断念せざるを得ないという。小川さんは「キャベツなど葉物野菜に積もる雪の隙間から鳥がくちばしで葉を突き、傷ついて出荷できなくなる被害が多い。防鳥ネットを農作物に被せることは可能だが、積雪が多いと、収穫に時間がかかってしまうため、簡単に設置できない」と打ち明ける。
積雪量が19日時点で、平年比4倍の富山県朝日町。JAみな穂営農部の水島正順部長は「今までの雪の積み重ねもある。短時間で急激に積もる大雪に警戒をしたい」と話す。
新潟県でも積雪に苦慮する。十日町市で米や野菜を栽培する福崎勝幸さん(64)は約40年前の「五六豪雪」や「五九豪雪」のような強い降り方だとし、「1月後半から雪が急に増えた。山間地にある自宅は積雪3メートル近く、雪かきも日々命がけ。春先に一気に雪が溶けると畦畔(けいはん)が崩れ、水路が決壊することもある」と心配する。
昨年末からの記録的大雪で、東北地方では各地のJAが対策本部を設置して情報収集に当たる。1月に数年ぶりの豪雪対策本部を設置した青森県のJA津軽みらい営農課は「幹線道路から奥まった道路は除雪が進んでいないので、リンゴ園地を確認できていない農家もいる」と説明。「年末にリンゴの木に積もった雪が年初の暖気で解け、雪の重みで枝が下に引っ張られて折れたり、木が裂けたりしている」としている。
気象庁によると、19日をピークに強い寒波は弱まる見通しだ。ただ、20日以降も日本付近の上空には断続的に寒気が流れ込み、冬型の気圧配置が数日続く見通し。週末まで広い範囲で低温に警戒が必要となる。
(糸井里未、尾原浩子、藤平樹)