北海道東部の十勝地域10JAが生産する「十勝川西長いも」が初めて宇宙へ送られる。とろろやグラタンなどに加工し、今月から国際宇宙ステーション(ISS)に約半年間滞在する大西卓哉宇宙飛行士の宇宙食として提供する。大西さんは13日、民間の宇宙船でISSに向かう予定。船長として任務をこなす。

宇宙食は、とろろ、グラタン、肉巻き焼き、トマト煮込み、オムレツの5種類。「十勝川西長いも」のシャリシャリとした食感を生かした。JA帯広かわにしが発案し、フリーズドライ食品の「極食」(札幌市)が2023年に開発した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の厳しい基準を満たすため、5年以上の年月を費やした。
18年、保存食の製造などを手がける尾西食品(東京都)の宇宙食に同JA産小豆を提供。これを機に、宇宙食の取り組みを本格化させた。今回ISSに送られる39品目のうち5品目をナガイモ宇宙食が占め、最多となった。尾西食品の赤飯も含めると、6品目に同JA産が使われている。
25年1月に死去したJA帯広かわにしの有塚利宣前組合長が、「究極の食の安全・安心を追及する」との信念で進んできた宇宙日本食プロジェクト。JA帯広かわにしの足助博郁組合長は「日本から海外、宇宙まで安全・安心で高品質な食料を供給するという産地の使命を、生産者、JA一丸となって果たしていく」と意気込む。