岡山市と愛媛県今治市の山林火災は発生から丸3日たった26日も延焼が続き、農地や市街地にまで被害が及んだ。両県などによると、焼損面積は1000ヘクタールに迫る。岡山市では農業用ハウスや作物が焼損。今治市では住宅など9棟が全焼し、周辺のJAも臨時休業に追い込まれるなど、農業現場にも影響が出ている。また、宮崎市での山林火災は鎮火には至らず、焼損面積は50ヘクタールに拡大した。

岡山市と玉野市にまたがる火災の延焼範囲は、26日午後2時時点で546ヘクタールに拡大。県によると統計が残る1965年以降で最悪の規模。消防ヘリ11台で消火活動に当たるが、火災は東に被害を広げており、鎮圧の見通しは立っていない。24日に一旦は避難指示を解除したが、火勢が強まり25日夜に再度、発令した。現地のJA岡山の鉾立資材店も、26日は臨時休業した。
火災現場から東に位置する同市小串地区。岡山市農協青果物生産組合の副会長・岩崎信義さん(77)は、少しずつ迫ってくる火の手に「一刻も早く火事が収まってほしい」と話す。夜になれば西から風が吹き、栽培するレタスやキャベツに灰が降り注ぐため、品質低下にも気をもむ。
今治市でも火勢は収まらず、消失面積は26日午後2時時点で417ヘクタールに拡大。住宅7棟、倉庫2棟が全焼し、7494人(3848世帯)に避難指示が発令されるなど、緊張が続く。全焼した建物のある桜井地区では、JAおちいまばり桜井支店と同JAデイサービス元気桜井が臨時休業した。
同JA桜井支店では、他支店へ利用客を案内する職員が交代で対応。職員は「25日の夕方には近くにも煙が見えた。営業を続けるか迷ったが、26日の朝がた、臨時休業を決めた」と戸惑いながら語った。現地では消防車のサイレンが断続的に響いているという。
岡山・松山両地方気象台によると、27日は前線が通過する影響で両市とも雨の予報。消火活動の一助となることが期待されている。
宮崎市では25日、鏡洲地区の山林で火災が発生し、約50ヘクタールへと広がった。市は同地区の70世帯に避難指示を出し、26日午後3時現在で1施設、11人が避難している。人的被害や住家被害は確認されていない。県危機管理課によると、当該地域は植林地帯で、林業や農業の施設はない。
25日午後から始まった自衛隊や宮崎市消防本部などの消化活動の成果で治まりつつあり、「現在は目立った炎や煙は確認されていない」(同)という。
(大森基晶、柴田真希都、溝口恵子)
政府は26日、岡山市と愛媛県今治市の山林火災を受け、首相官邸の危機管理センターに設置した情報連絡室を官邸対策室に改組した。石破茂首相は同日、関係省庁に対し、地方自治体などと連携して消火活動に全力を挙げ、住民の避難支援や情報提供に万全を期すよう指示した。