北海道と鹿児島県徳之島の糖業会社が、互いの農繁期に人材を派遣しあう取り組みが軌道に乗ってきた。2年目となる24年度は、賃金差などの課題で23年度は見送った北海道から徳之島への派遣を初めて実現。テンサイが10月~11月中旬、サトウキビが12月~翌3月と収穫期が異なることを生かし、輸送力の維持や生産現場の労働力確保につなげている。

北海道糖業(北糖)と徳之島に事業本部を置く南西糖業などが連携し、23年度に取り組みを開始。24年度は前年度から1人増えた3人が来道し、8月下旬~11月末の間、テンサイ輸送に従事した。
24年度はさらに、冬期に北海道からの派遣を初めて実現。普段は北海道で農家相手に土木施工を行う落合光さん(28)は、大型トラックの運転手として1月上旬から働いている。6トンのサトウキビの輸送を6回転し、1日当たり約36トンを運搬。徳之島全域から、島内の南西糖業の工場へ運び、輸送力維持に貢献する。
他にも一人、道内の農家をハーベスターのオペレーターとして派遣。2月中旬から同月末まで、1日約20トンのサトウキビを収穫するなど、労働力強化につながった。
23年度は、北海道と徳之島の賃金格差の課題があり、同島への派遣が実現しなかった。24年度は、北糖と南西糖業の関係会社・南西サービスで調整し、時給を北海道の水準に合わせることで、相互派遣が可能となった。北糖がテンサイ生産者向けの広報紙で募ったことも奏功し、2人の派遣が実現した。
物流維持や農作業の労働力確保に向け、糖業らは今後も取り組みを続ける考え。北糖は「賃金交渉や地域ルールの理解、渡航費用などまだまだ課題は大きいが、行政などと協力し、さらに多くの人数を派遣したい」(農務企画課)と意気込む。