「茶ポンス」は、サイダーに抹茶を溶かしてレモンを浮かべたアイスグリーンティー。1926年に米国で開かれたフィラデルフィア万国博覧会の「日本茶喫茶室」で人気を呼んだ。「Tea punch」の日本語表記が、「茶ポンス」になった。
東京・新橋の「お茶の文化創造博物館」で開かれた、「近代万博と茶」の出版記念会で披露した。飲料を味わった人は、「100年前の飲み物とは思えない新しい感覚」「さわやかでおいしい」「色がきれい」「米国で提供されていたとは驚いた」などと話した。

「近代万博と茶」は、吉野さんと井戸幸一さんの共著。吉野さんは静岡大学の非常勤講師を務め、日本茶の文化史などを研究する。井戸さんは、博覧会コレクションを所蔵する乃村工藝社に所属し、イベントを企画する傍ら、万博の歴史や展示内容を調べている。2人は、幕末から明治、大正、昭和初期に盛んに輸出された日本茶について研究する中で、欧米の万博会場で日本茶が関心を呼んでいたことを知った。
万博に日本茶が登場するのは1867年の第2回パリ万博から。以降、茶業者らが万博会場に日本庭園付き喫茶店を設営し、日本茶を提供、PRに努めた。吉野さんは「100年以上前に米国で関心を呼んだ抹茶飲料を通じ、世界が認めた日本茶の魅力を再認識した」とし、井戸さんは「当時の資料から開国日本を支えた茶業関係者の熱意と勢いを感じた」と話す。
さらに吉野さんは、「1904年、セントルイス万博を取材した現地の新聞が『茶席には優しさと平和が満ち、理性的な考えを導き出す』と伝え、茶の効能を理解していた」と説明する。
「お茶の文化創造博物館」のカフェショップでは、100年前の「茶ポンス」を基に、フルーツなどを加えた21世紀の「茶ポンス」を提供している。