市によると、学給の民間委託は自治体施設を使った調理が通例だが、施設も民間が購入して受託するのは全国初とみられる。同生協は「協同組合ならではの事業」と位置付け、地域貢献と経営の両立を図る考えだ。
センターは2021年、築30年を迎え、建て替え計画が浮上した。しかし、ウクライナ紛争などによる建設・設備費の高騰で想定額が25億円を超え、年度当初予算が150億円規模の市は断念。毎年の修理・メンテナンス費も莫大(ばくだい)になることから、法制度上問題がないことを確認した上で、センターと用地の売却、食材の調達から調理、配送までの民間委託を決めた。
委託先は昨年9月、プロポーザル方式で公募。応募した2者のうち、全道に農水産物の調達網を持ち、食事供給の実績がある同コープに1億5300万円で売却した。市採用の栄養教諭をセンターに配置し、従来通り栄養管理や献立作成を行うことで学校給食法の完全給食を維持する。
学給センターを巡っては、全国の施設が建て替え期を迎えており、各自治体は少子化が進む中、高騰する建設費や修繕費に悩む。また、多くの地域で運転免許を返納した高齢者の食事支援などの課題に直面している。

同生協は、こうした課題に向き合う施設として、同市の学給1000食分の他、福祉施設や病院の食事、運転免許返納で買い物が困難な高齢者らの宅配食、周辺自治体の小中高校の学給も手がけていく計画だ。
同市では中学校で7日、小学校は9日に給食が始まった。初めてストローレス牛乳が提供され、留萌小では児童が食と環境保全を学びながら味わった。市教委の松本洋参事は「多くの市町村から問い合わせがある。協同組合のノウハウと持ち味を生かした持続可能なモデルになれば」と期待する。
(栗田慎一)