「給食費を値上げできないから、献立を見直している。例えば、春雨入り野菜炒めは、(安価な)春雨を増量し、(春雨より高価な)野菜を減らす。栄養価の不足分は他の食材で補うしかない」。西日本にある自治体の栄養教諭が打ち明けた。
学校給食法は、食材購入費に当たる給食費を原則保護者負担とする。このため、多くの自治体が給食費を据え置くか最小限の値上げに留め、自主財源などで食材費を増額した自治体は少なくない。

北陸の自治体は4月から給食費の値上げに踏み切った。ただ、米の値上がり分を全額上乗せすると、1食当たり小学生30円、中学生40円の値上げになる。月額最大800円も上昇する計算だ。
「これでは議会や保護者の理解は得られない」と考えた教育部局は、増額分のうち6~7割を独自財源と国の交付金で補てんする年度当初予算を成立させた。担当者は「値上げを10円に抑えたことで、何とか納得してもらえた」と振り返る。
一方、25年度当初の給食用米価が決まるのが3月までずれ込んだ自治体の多くが、年度当初予算に値上がり分の公的補助を反映できなかった。

近畿の自治体は、おかずに使う農産物の種類を変えることで、米の値上がり分を相殺することにした。担当者は「4月は価格が高い青菜類を減らし、お手頃価格のタマネギやイモ類を多く使う献立に変えた。(経費のかかる)地場産も減らすことになるかもしれない」と語り、給食に協力してきた地元農家への影響を懸念する。
国の無償化にも不信感が漂う。四国の自治体担当者は「国が定額を自治体に支給するのか、学校給食法を改正して給食費を公費負担とするのか、情報がない。これでは無償化を前提にした米価の値上がり対応も決められない」と嘆いた。
(編集委員・栗田慎一)
学校給食用米価 本紙調査で全国の学校給食会が自治体に売り渡す米価が25年度から1・3~2倍超に値上がりすることが判明。最低価格は24年同期の最高価格を上回る異例の事態となった。