茨城県では、1月から4月27日までで、少なくとも14件、約4470キロの被害が出ている。4月だけで見ると8件、約1470キロの被害でこのうち、筑西市で6件と集中し、1050キロが盗まれた。
「腹立たしい。人の食べ物を持っていくなんて」。筑西市で農業を営む男性(67)は、あきらめ顔で米があった低温貯蔵庫を指さす。
4月16日の朝に被害に気付いた。昨年産の「コシヒカリ」を玄米で150キロ、精米で約15キロを貯蔵庫に保管していたが盗まれた。前日の夕方までは特に異変がなかったものの、16日の朝、倉庫の中のものが外に置いてあることに気が付き、すぐに警察に届け出た。貯蔵庫の鍵はしておらず、防犯カメラも設置していなかった。
男性は「これまでこんなことはなかった。鍵をしていた近隣の人も盗られている」と悔しがる。塀を隔てて低温貯蔵庫を置いている物置小屋近くの道路に軽トラックを寄せて複数人で犯行に及んだのではないかと想像する。近隣住民はこの男性から米盗難の話を聞き、自分の貯蔵庫を確認したところ同様の被害に遭っていたことが分かった。いつ盗まれたのか分からないという。

管内を管轄するJA北つくばでは窓口を訪れた人に注意を促すためちらしの配布や声かけをしている。同JAの中部営農経済センターは「米の値段が上がっていることが影響している。自分で食べるためというより、転売を意識した犯行ではないか」とみる。
千葉県では、4月の届け出受理件数だけで10件、約2230キロが盗まれた。特に旭市では4件の被害が出ている。米の小売価格が例年よりも高水準のため盗難のリスクが高まっているとみられる。防犯カメラや夜間センサーライトの設置、施錠の徹底が必要だ。
(中村敦信)
