チーム名は、同校物質環境工学科の生徒でつくる「COWNECT(カウネクト)」。立ち上げ当初は5人だったが、卒業などでメンバーが入れ替わり、現在は5年で代表の西野快さん(19)、創設当時から関わる5年の佐久間希美さん(19)ら3人で活動する。
活動開始前の2022年末、処理不可能乳の発生が懸念されるほど需給が緩和し「酪農危機」という言葉で繰り返し報じられた。これに問題意識を抱いたメンバーは、酪農家やJAに現状を聞き取るなどし、バターと脱脂粉乳の需給不均衡が業界で大きな課題になっていると知った。
解決策を探る中、生乳に含まれるタンパク質の一つのカゼインについて知識を持っていた佐久間さんが、「脱脂粉乳からカゼインを取り出し、食べ物ではない何かを作りたい」と発案。23年秋から開発に着手し、試行錯誤の末、24年2月に最初の試作品が完成した。
チームはこの素材を「コネクトレザー」と命名。1キロの脱脂粉乳から1平方メートルの革風素材がつくれるといい、しおりやパスケースなど製品のラインナップも増やした。活動資金はビジネスコンテストへの応募やクラウドファンディング(CF)を活用。今夏には、CF支援者に試作品の使用感や今後の販路について意見を求める会議の開催も予定する。
佐久間さんは「活動で知り合った酪農家の多くが、生産現場の実態を知って行動に移していることを好意的に受け止めてくれた」と振り返る。製品を通して「もっといろんな人に酪農の現状を伝えていきたい」と話す。
高専生として活動を続けてきたが、来春には卒業を控える。西野さんは「これで終わりとはせず、大学でも活動を継続・発展させていきたい」と力を込める。
(松村直明)
