農作業中の熱中症による事故が後を絶たない。今年も熱中症の疑いで農家が命を落とした。農水省の調べで年代別死者は、60代以上が全体の9割以上を占める。月別では、7、8月の死者数が圧倒的に多いが、5月も油断できない。
農水省によると、農作業中の熱中症による死者数は、2023年までの10年間で、280人に上った。年代別では、80代が135人と約5割を占め、60代以上が全体の9割以上となった。月別では、全体の8割以上が7月(116人)、8月(115人)が占めた。ただ、死者は2~6月にもおり、真夏でなくても油断は禁物だ。
今年も死者が出た。愛知県の豊田市消防本部などによると、20日、豊田市で農業を営む80代男性が熱中症の疑いで病院に搬送され、死亡が確認された。男性は、農業用ビニールハウス内で意識がもうろうとしている状態で、家族に発見された。県によると、熱中症の疑いでの死者は県内では今季初だ。
60代以上の死者が多い理由について、農作業事故に詳しい富山県南砺市の片山安心コンサルタント合同会社の片山昌作代表は、「今より気温が低かった若い頃の感覚で作業してしまい、重大な事故を招いている」と指摘。熱中症の代表的な症状①汗をかかない②体が熱い③めまい④吐き気――などを知るとともに、休憩の判断を作業量で区切らず、40分作業したら10分休むことを推奨する。
同省は熱中症予防の対策として①暑さを避ける②小まめな休憩と水分補給③単独作業を避ける④熱中症対策アイテムの活用――を徹底するよう喚起する。
(前田大介)