
暑さに強く多収で高評価
「にじのきらめき」は、農研機構が開発した高温耐性品種で、18年にデビュー。わずか6年で産地品種銘柄に登録する県は21に上り、試験栽培などを含めるとさらに多くなる。関東や東海地方に加え、直近では四国や中国地方でも拡大が進む。
背景には高温耐性品種への切り替えを進める産地の意向がある。記録的な猛暑となった23年産では、高温障害による等級低下が全国的に多発。最大品種の「コシヒカリ」は1等比率が51%と苦戦した。一方、「にじのきらめき」などの高温耐性品種は高水準を維持。
多収性でも支持される。農研機構によると、「にじのきらめき」の10アール当たり収量は「コシヒカリ」に比べ約15%、多肥栽培では30%近く多い。
収量は農家所得に直結する。主産地の茨城県JA北つくばによると、「にじのきらめき」の10アール当たり収入は管内主力の「コシヒカリ」に比べて2、3万円高い。JAの買い取り単価は「コシヒカリ」に劣るものの、10アール収量が約150キロ多いためだ。米穀販売課の篠崎剛課長は「生産コストがほぼ変わらず、手取り増につながる」と話す。

実需や流通業者の評価も高く、業務用を中心に販路の開拓も進んでいる。米卸の全農パールライスは、「大粒で炊き増えしやすいことに加え、粘りが少なく、おにぎりなどへの適正が評価されている」と分析する。業務用では品質と価格のバランスが重要視される中、「コシヒカリ」や「はえぬき」よりも単価が値頃な点も強みだという。
家庭用の拡大も
今後、家庭用でもシェアを拡大する期待がある。全農パールライスは、「食味は家庭用でも十分に通用する水準」と評価する。
高温障害が多発した23年産米を契機に、猛暑下でも安定した品質が期待できる銘柄の注目度は高まっている。「取引量を増やしてほしいとしたオファーが相次ぐ」(篠崎課長)など、引き合いが強い。今後も作付けの拡大基調が続きそうだ。