チーズはナチュラルチーズとプロセスチーズに分類される。ナチュラルチーズとは、牛やヤギから搾乳した乳を凝固させたものから、液体成分のホエー(乳清)を取り除いたもの。ナチュラルチーズを加熱処理したものがプロセスチーズとなる。
乳業メーカーでは、国産ナチュラルチーズを使った商品を売り出し、チーズ消費機会の拡大をめざす動きが出ている。

生クリームのようにクリーミーで滑らかなマスカルポーネチーズに、バニラソースとアールグレイソースを混ぜる2種類を展開。マスカルポーネチーズはティラミスの材料として使われることが多い。同社調査によると「そのまま食べる」が23%に上り、そのまま食べることでぜいたく感を得たいとする消費者のニーズを捉えた。

同社は「家庭での利用頻度が高いカマンベールチーズなどは消費者の価格感応度が高いことから、販売の増減は価格の影響を大きく受ける」という。一方で、クリームチーズなどは「差別化商品の開発で、安定的な販売実績につながる」と展望する。
農水省によると、2023年度の国産ナチュラルチーズの生産量は4万5146トンと13年度と比較して11%増加した。うちプロセスチーズの原料用は13年度比が9%減であるのに対し、ナチュラルチーズとして消費される分の生産量は2万1769トンで同5割増加した。
日本農業研究所の矢坂雅充氏は「消費動向は、プロセスチーズからナチュラルチーズにシフトしている」とする。さらに、円安による輸入チーズの価格高騰で国産品と輸入品の価格差が縮まっていることから、「国産品の付加価値を高めて売り出す動きは続く」とみる。
(廣田泉)