夏は厳しい暑さで野菜摂取が減りやすい。総務省『家計調査』によると、生鮮野菜の1世帯当たり支出額(2人以上の世帯・2023年)は7、8月がそれぞれ5709円、5688円。2月(5392円)に次ぐ低さで月平均を1割下回る。夏ばてで食欲が落ちやすく、野菜の取り方にも工夫が必要だ。

多彩な野菜は国産にこだわり、柔らかく緑色が濃いグリーンカールを全メニューに使う。味が強いニンジンは主張を抑えつつ食感を残す細切り、キュウリははじける水分が楽しめるダイス状など、野菜一つ一つの形と大きさから緻密に設計する。
7、8月は、10種以上のスパイスで味付けしたチキンに夏野菜、スパイシーなキーマカレーに甘夏と、夏でも食欲が湧く2品を商品化。野菜10種類、合計350グラム入った「1日分のまるごとサラダ」も人気だ。
客層は20~40代の女性が多く、リピーターが7割に上る。広報部の多田ゆりあマネージャーは「気軽に野菜を取れる場を提供して日常的にサラダを食べる習慣を広め、日本の農業振興に貢献したい」と、企業理念を語る。

野菜炒め専門店というコアな業態で、東京と大阪に4店舗展開。野菜は普通盛りでも400グラムと大量に使い、ボリュームたっぷりのから揚げと合わせる。池袋東口店(豊島区)はカウンター席のみの小さな店だが、30、40代男性を中心に1日200人が訪れる。
課題は夏の集客だった。店を運営するフードサプライ(大田区)の古町卓也新事業開発室長は「涼しく食せる挑戦的なメニューで季節を問わず楽しめる味を提供し、週に1日でも野菜中心の日をつくってほしい」と話す。
(橋本陽平)
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