もち麦とは、アミロース含有量が著しく少ないなどの特徴を持つもち性大麦のことで、うるち性に比べて食物繊維を多く含む。中でもベータグルカンと呼ばれる水溶性の食物繊維は、血糖値の上昇を緩やかにするなどの効果が期待されており、注目度を増している。
もち麦を使った商品の代表格が、コンビニのおにぎりだ。コンビニ大手3社はそれぞれもち麦入りのおにぎりを定番商品化しており、「販売は好調」(ローソン)という。同社が販売している「たっぷり食物繊維が摂(と)れる 枝豆と塩昆布おにぎり(国産もち麦入り)」(149円)は、ローソンのおにぎりの中でも販売数上位になる人気ぶりで、男性客にも支持を広げている。

セブン-イレブンは2023年に、もち麦を使った機能性表示食品のおにぎりを初めて発売した。ベータグルカンに着目して、食後の血糖値上昇を穏やかにするとした健康性をアピール。販売数量は現在も好調に推移しているという。

冷凍食品でも、もち麦の利用が進む。ニチレイフーズは、通信販売限定で「もち麦ワンディッシュ」シリーズを展開。ニップンも家庭向けの冷凍食品の「いまどきごはん」シリーズで、もち麦を使う。雑穀メーカーのはくばくによると、もち麦は保水性が高く、「加工に向いている点でも評価が高い」という。

直近では、スーパーなどで米の品切れが多発したことも、もち麦人気の追い風となる。はくばくの8月のもち麦の販売金額は、前年同月比で36%増えた。中でも家庭向けは44%増と大幅に伸長しており、「米不足の救世主としてメディアで取り上げられた影響も大きい」(同社広報)。
健康志向が強まる中、もち麦の活用がさらに広がるとの見方が強い。一方で、現状は輸入品の割合が高く、国産のシェア拡大が課題となる。全国精麦工業協同組合連合会(全麦連)によると、主要な集荷団体の25年産もち麦の販売予定数量は9000トン強を見込む。1000トン程度の規模だった17年産からは大きく増えたが、「近年の販売量は横ばい傾向」(全麦連)だ。国内産地の増産に期待する声がある。
(鈴木雄太)