今年は需要が堅調な米だが、長期トレンドで見ると消費減が進む。総務省「家計調査」によると、2023年の1世帯当たり年間支出額(2人以上世帯)は2万397円と20年で45%減。比例して漬物も同24%減ったが、ふりかけは同16%増と堅調だ。同じご飯のお供でも差がある。

ふりかけ「ゆかり」で知られる三島食品(広島市)は、看板商品を「調味料」として提案する。23年、スーパーの生鮮食品販売をサポートする「メイン食材販売支援プログラム」を始めた。
精肉コーナーでは、ゆかりを調味パン粉にまぶした鶏ムネ肉を提案。さっぱりとした焼き上がりが人気で、定番メニューに採用する店もある。野菜は、湯通ししたもやしとあえたり、キュウリなどと一緒に軽くもんで浅漬けにするなど、簡単レシピを案内する。

東海地方の食品スーパー・フィールとは、7月の土曜日にイベントを開催。ゆかり小袋を食材に貼って横に店内広告(POP)を置き、メニューを連想しやすくした。大々的な売り場づくりが奏功し、タイアップする食材や総菜の販売個数は1週間前と比べて長ナスが63%増、カツレツや蒸しだこは3倍以上を売り上げた。
プログラムを実施するスーパーは10社に拡大。三島食品は「『ゆかりは調味料』と一人でも多くの消費者に知ってもらい、家庭で料理するメニューとして加えてほしい」と話す。

漬物は、ご飯のお供から「総菜」へとイメージチェンジする提案が出てきた。東海漬物(愛知県豊橋市)は24年、浅漬け新商品「野菜そうざい」を発売。国産のハクサイやキャベツをねぎ塩だれやナムル風味で味付けた。
同社は「差別化が難しい浅漬けの分野で新たな挑戦をしたかった」と経緯を語る。そのままおかずの1品にできる他、肉と炒めるなどいろいろな料理とのアレンジを提案する。
全日本漬物協同組合連合会の真野康彦専務は、「米と漬物の消費は関係しており、スーパーの棚も縮小傾向にある」と指摘。打開策として「漬物のカテゴリーを超えた商材として売り込むことが重要だ」と提言する。
(橋本陽平)