[農畜産物トレンド調査](3)米 サキホコレに期待
期待の新興銘柄について全国の米卸や米穀店、スーパーなど47社から回答を得た。
期待銘柄のトップは前年に続き「ゆめぴりか」だ。粘りの強い良食味と有名タレントを起用した宣伝で消費者の人気は定着。「年々売り上げが伸びている」(百貨店)。2位は山形「つや姫」で「天候状況に左右されない安定的な良食味」(東日本の卸)と評価が高い。いずれも厳しい出荷基準で品質・食味の安定感に定評がある。
2位に並ぶのは秋田「サキホコレ」。今年本格デビューを予定し、昨年のプレデビュー時には地元で早々に売り切れ話題になった。「食味が抜群に良い」(大手卸)と食味の評価が高く、炊き上がりの白さを挙げる声も。米産地としての認知度の高さが販売に好影響かと期待も高まる。21年産にデビューした福島の新品種「福、笑い」も4位に食い込んだ。東日本大震災以降販売に苦戦する福島米復興への弾みとなるか米卸や米穀店側の期待も集まる。同数4位の新潟「新之助」は、大粒の良食味に加え産地イメージの良さも手伝い、消費者人気が上昇中。
高価格帯米の市場は飽和状態とも指摘されるが、コロナ下の内食傾向が続く中で、高価格でも良食味米を楽しみたいニーズは今後も一定に見込まれる。
健康性アピールが重要
有効な消費拡大策は「健康への貢献をPR」が前年に続く1位。「米は太る」というイメージの払拭(ふっしょく)だけでなく、新型コロナウイルスを機に消費者の健康志向が高まる中で、「米を食べることで健康にどう良いのかPRすべきだ」(東日本の卸)との意見が挙がった。2位は若者への訴求として有望な「インターネット交流サイト(SNS)の活用」と、新需要を生み出す「ごはんバーガーなどの新商品」が並んだ。「ご飯以外の形で米を消費できる工夫が必要」(関東の卸)が理由に挙がる。
国が有機農業の推進を打ち出す中、有機・特別栽培米の販売を伸ばすために必要なのは「手の届きやすい価格帯」が1位(15票)。「今の価格帯を維持するなら、味の違いも消費者が納得できるようにする必要がある」(関東の米穀店)。2位は「栽培方法がどう環境に良いか説明する」(12票)。持続可能な開発目標(SDGs)への社会の関心が高まる中、環境保護にどう結び付いているか分かりやすい説明が求められる。
22年の米の外食需要はコロナ前(19年)より「下回る」が72%を占めた。家庭内食や中食は、いずれも「同水準」が5、6割程度で「下回る」が3割程度なのに対し、外食需要の低迷が続きそうだ。