[農畜産物トレンド調査](6)花き 家庭向け定着へ正念場 物流改革で需給マッチング
小売り、卸、加工業、輸入業、種苗会社など計43社が回答した。
花き販売のキーワード(三つまで選択可)では、「物流の効率化」(52%)が首位となった。輸送費の高騰で産地の出荷市場が絞られる傾向にある中、地域ごとにニーズのある花材を、効率よく届ける仕組みづくりが鍵となる。2位には「安定供給」(38%)、3位に「ウイークエンドフラワーなど普段使い」(31%)が続いた。
最も販売の伸びが期待できる物日(三つまで選択可)では、昨年3位の「母の日」が1位(54%)に。2位の「正月」(44%)、3位の「お盆」(30%)と合わせ、新型コロナ下で販売好調だった定番の物日が並んだ。昨年1位の「ミモザの日」は4位(28%)だったが、定番の「バレンタインデー」(5位、26%)を上回った。
21年比で販売の伸びが期待できる品目を聞いたところ「草花類」が26%でトップだった。自然派志向の高まりで、小花やグリーンの自然な風合いに支持が集まった。花色ではインテリアになじむ中間色が人気で、染め品種を推す声も聞かれた。2位には「枝物類」「鉢物類」「菊類」「カーネーション類」が12%で並んだ。
ポスト・コロナの消費環境への対応として重要なこと(三つまで選択可)では、「ホームユースの定着・拡大に向けた販促」が69%と飛び抜けた。「業務用の回復」が2位(40%)に、「業界を挙げた消費促進」(31%)が3位だった。業務用の回復に対応しつつ、家庭用でさらに伸ばす余地があるとの認識が共有されている。
花きの消費拡大のため、業界内に求められることを自由回答で聞いたところ、生産、流通、販促のそれぞれに意見が寄せられた。
生産面では家庭消費の定着に向け、「日持ちのする品種の開発・導入を」(市場卸)、「業務用から家庭用の規格への切り替えが必要」(花束加工業)といった声が聞かれた。
流通面では「無駄をなくすため市場間で需給調整を」(市場卸)、「生産者の顔や生産状況が消費者に届くようなサプライチェーンの確立を」(同)との意見が目立った。
販促面では、花が生活や経済活動に有用であることのPRと合わせ、「他業種との連携で新しい顧客の掘り起こしを」(同)といった声が強かった。(おわり)
(柴田真希都、斯波希、高梨森香、玉井理美、橋本陽平が担当しました)