わら細工用稲“二期作” 収量確保、所得増に期待 長野県の南信州米俵保存会
この二期作は、青刈りした稲の量を確保するのが狙いだ。青刈りの稲わらは鮮やかな色味が特徴。寺社の神事や飾り物として人気があり、保存会の収入になっている。
だが、全国的な需要増から、わら不足が続く。保存会では2020年に青刈りの稲わらを約400キロ確保したが年内に全て使い切ってしまい、保存会は生産者を増やしたいと考えていた。
二期作のヒントになったのは20年に、田1枚(30アール)のうち、外側の5アール分を青刈りしたこと。品種は「コシヒカリ」。残り約25アールを主食用米として育てるために水を張り直したところ、青刈りで刈った穂の根元からひこばえが伸びて、稲穂となった。
協力した米農家の座光寺正和さん(42)は「ひこばえがこんなに立派に育つとは思わなかった。収穫できて、自家米として食べられるほどの生育だった」と振り返る。
青刈り後のひこばえからも稲ができることに可能性を感じた保存会は21年、座光寺さんの田30アールで試している。7月下旬に青刈りし、ひこばえから伸びる稲は10月中・下旬に収穫する予定だ。
この取り組みでは、農家は田植えと水の管理だけを行い、夏と秋の収穫は保存会が請け負う仕組みにしたため、農家にとっては労力軽減の利点もある。青刈りした稲は、JAの主食用米の買い取り価格と同水準で、保存会が買い取る。
さらに、秋にひこばえが順調に生育した場合は、農家は稲わら1キロ当たり25円の収入を得る。座光寺さんは「農家にとって、青刈り分だけで主食用米と同程度の収入を得られるのは安心だ。初めてで試行錯誤中だが、ひこばえがうまく育てば、その分収入が増える」と期待する。
保存会は、今後の稲作振興に期待を寄せる。同会の酒井裕司代表は「わら文化の活性化だけでなく、もうかる稲作につなげたい」と意気込む。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=EqKX_P6hO3k