発電菌は有機物を分解した際に、電子を放出する特性を持ち、東京農工大によると、全国各地の土に含まれている。実験に使う電池は、350ccの箱に土を入れて電極を刺した簡素な仕組みで汎用性が高く、四国電力は「将来的に安価に提供できる可能性がある」という。
実験では、園地内に電池を埋めて、1年ほどかけてどの程度の電力を確保できるのか確かめる。その後、土壌水分センサーなどに取りつけて実証する。農業現場では、水田以外での実証は全国初。
土壌水分量のセンサーや、野生鳥獣のわなに取り付けるセンサーなどの電力源には通常、太陽光発電や乾電池が使われる。一方、山間の果樹園などでは、ソーラーパネルが使えなかったり、定期的にバッテリー交換などに出向いたりする必要がある。今回の電池は、夜間や悪天候でも動く他、交換が不要で、日陰にも設置できる。
発電菌から回収できるのは微弱な電力だが、まとまった量になるまで蓄電して定期的に放出する仕組みとし、センサーなどに必要な電力を供給する。土砂災害の可能性を察知するセンサーなどにも利用できる可能性があるという。
(溝口恵子)