父は「福之鶴」で、母の父は「福之姫」。ゲノミック育種価では、脂肪交雑基準(BMS)ナンバーが全47頭のうち6位、枝肉重量が8位、ロース芯面積が4位だった。皮下脂肪厚が厚めだが、同事業団は「それをカバーするほど産肉能力が高い」としている。
農家で育てた子牛の成績を調べる現場後代検定では、BMSナンバーの平均が9・7を記録。枝肉重量やロース芯面積も大きい。性別問わず良好な成績で、「繁殖雌牛の改良にも貢献が期待される」(同事業団)。ただ、在胎期間が長く、生時体重が大きいため、注意が必要だという。

同事業団は同日、他に6頭の新規種雄牛も発表した。スーパー種雄牛「福之姫」の後継牛「福之鶴」の産子2頭を含む。同事業団は「数年のスパンで、系統の多様性をそろえていく」としている。
「優鶴福」は、藤良系。バラの厚さのゲノミック育種価が、全47頭のうち1位と高い評価で、現場後代検定成績でも9センチ以上と優秀な成績を出す。「産子の枝肉は厚みがあり、小ザシ傾向でモモ抜けも優秀」とした。
「和華久」は、気高系。ロース芯面積のゲノミック育種価が、全47頭のうち1位。枝肉重量でも同7位と「ボリュームに富んだ枝肉生産が期待できる」。
「伊勢之鶴」は、藤良系。現場後代検定成績では、BMSナンバーの平均が10・7と、歴代最高を記録。BMSナンバーのゲノミック育種価では同10位。「産子の枝肉は、厚みがあり、小ザシ傾向」とした。
「幸松梨」は、気高系。現場後代検定では、雌の調査牛全10頭がBMSナンバー10以上を記録し、平均で11・4と歴代1位を記録。繁殖雌牛の改良への貢献が期待される。
「光久茂」は、田尻系。脂肪酸組成に優れ、脂肪の質の改良に適す。「愛之桜」は、藤良系。小さく生まれ、大きく育ちやすいため、「一貫経営のニーズに合う」とみる。
同事業団は、飼料価格が高騰し、「増頭よりも飼養頭数を維持する傾向が高まる中、一頭ごとの産肉能力の高さが重要になる」と説明。脂肪交雑や枝肉重量が高位平準化する中、「欠点も含めて形質の多様性が求められている」と展望した。
