吸血昆虫対策早めに 牛のランピースキン病予防 牛舎の隅や堆肥に注意
同病は牛や水牛が感染し、人にはかからない。感染牛の移動や、サシバエや蚊などの吸血昆虫によって感染が広がるとされる。昨年11月上旬から1月22日にかけて、福岡・熊本の両県で計22農場で発生を確認した。
現場での衛生管理の徹底や媒介役となる吸血昆虫の活動が落ち着いたことなどにより、感染拡大が沈静化したとみられている。一方、農水省は、同病ウイルスは環境中で長期間残存でき、国内でウイルスが残っている可能性もある他、国外からウイルスが再侵入する可能性もあるとみる。
同省によると、主な媒介役となるサシバエは、1匹が生涯に産む卵の数は600個とされ、牛舎の隅など牛が踏まず敷料が滞留している場所、切り返し損ねた堆肥の中などで、幼虫やさなぎから成虫に成長する。冬の間は、暖かい時期に比べると、成長の早さが遅く、こういった場所に早期に昆虫成長制御剤(IGR)を散布することで、成虫になるのを防げる。九州農政局はリーフレットを作成し「冬の成虫1匹は来シーズンの1万匹に相当すると言われるほど冬季対策が重要」と対策を呼びかける。
成虫を牛舎に入れないためには、防虫ネットの設置や牛舎周辺の草刈りも有効。防虫ネットは、目合い6ミリの薬剤含浸防虫ネットを選び、地面や床から2メートルの高さまで覆えるよう設置。隙間や穴がないか定期的に確認する。同じ殺虫剤を連用していると生き延びたサシバエが耐性を持つことがあるため、系統が異なる複数の殺虫剤でローテーションを組む。
同局は「地域ぐるみの対策が必要」とも訴える。サシバエの持ち出しや持ち込みがないよう、農場出入り業者に車内の殺虫を依頼するよう求める。
(森市優)