鶏肉食中毒防げ 農水省がポータルサイト 農場の対策PR
カンピロバクターは乾燥に弱く、十分な加熱調理で死滅する。同省によると、特に飲食店などで、生や加熱不十分な鶏肉を食べることで、食中毒が多く発生。2003年以降、毎年、細菌性食中毒の中で最も年間届出件数が多い。コロナ禍で外食の機会が減り、一時減少傾向だったが、21年以降、再び増加傾向となっている。
同省は「SAFE TABLE STATEMENT~国産チキンの安全・健やか宣言~(あんすこ宣言)」と題し、専用ポータルサイトを使って生産者や食鳥処理場が「自主取組宣言」として、自らの対策を社会に発信する取り組みを始める予定だ。サイトを運用するのは日本食鳥協会。農場で行うカンピロバクター対策は「他の感染症予防にもつながる」(同)とも強調する。
同協会は「自主取組宣言」のガイドラインを4、5月に公表し、8~10月をめどに申請の受付を始める予定。宣言の必須項目には、①経営理念②衛生管理の具体的な取り組み(11項目の中から選んで記述)――を盛り込む。②に当てはまらない、より高度な衛生対策などは、③独自の取り組みとしてアピールできる。
その他にも、産官学が連携して農場でのカンピロバクターの保菌状況を把握するための実態調査や、飲食店従業員への教育、生食で食べる頻度の高い20、30代に向けた交流サイト(SNS)を活用した情報発信などを推進する。飲食・小売り段階での対策も不可欠として、同省は25年度から、飲食店なども「自主取組宣言」の対象にするかなど今後の仕組みづくりについて、検討を始めるとしている。