そこで今年は、カリフラワーなどが終わりに近づいた畝に部分深耕天地返しをすることにしました。収穫前の株がいくつかありましたが、根をたくさん付けたまま大トンネルへ移植しました。

天地返しとは、草の種や病害虫のいる表層土と、それらがない地下の深層土を入れ替えることですが、畑全面にその作業をすることは大変です。ところが部分深耕天地返しは、幅2メートルの地面の中心にスコップ幅で深さ1メートルの穴を掘ることで天地返しを行う方法です。それでも効果は十分あります。全面をやると労力がかかるだけでなく、地下水の上昇が途絶えてしまうという現象も起きます。一般的な天地返しよりはるかに深くまで掘ることから、もう一つのメリットもあります。深さ数十センチにある耕盤層という硬い層を打ち抜くことで排水が良くなり、野菜の根が伸びやすくなることです。また、この作業は1回すれば翌年からはしなくても効果が持続します。
具体的な方法は、まず幅2メートルの半分側の表層土を深さ15~20センチの部分をレーキで反対側に寄せます。続いて2メートル幅の中心をスコップで掘り進みます。深層土は表層土とは反対の削り取った表層土跡に積み上げていきます。耕盤層を突き破り1メートルまで掘り進む頃、地上の表層土と深層土の山が同じくらいになります。

次は、表層土の山を掘った穴に埋め込みます。その時に残さがあれば一緒に埋め込みます。表層土を埋め込むとほぼ穴が埋まります。次に深層土の山をレーキで広げていくと、結果的に表面は深層土に置き換わります。
部分深耕天地返しが終わったところですぐ畝を立てます。ぼかし肥料と草木灰を振って「畝立て君」で成形し、穴なしマルチを張ります。その中央にホウレンソウをまきます。穴なしマルチなので穴を開けるのですが、バーナーにアルミでなくスチール製の空き缶を取り付けて点火し、熱くなった缶を、張ったマルチに接触させると簡単にきれいな穴が開きます。穴の間隔は15センチぐらいです。種は1穴3、4粒まきます。さらに2月中に畝の両脇にジャガイモを植えます。それはカッターで切り込みを入れ、種芋を丸ごとスリットから押し込みます。ホウレンソウは3月に取れ、その後ジャガイモが育ちます。(東京農大アカデミー講師・福田俊)
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