被覆資材の一つに不織布があります。文字通り繊維を織らずに絡み合わせたシート状のものです。新型コロナウイルス禍でマスクの素材としても効能が優れているとして有名になりました。愛用している不織布の農業用のひもも、縛りやすく丈夫で重宝しています。
農業用不織布は他の被覆資材と同様、シート状に加工されています。素材はポリプロピレンで、軽く作業もしやすく、防寒、防風、防虫、保温に使えます。
菜っ葉類を不織布だけで収穫まで栽培したことがあります。70センチ畝なら120~135センチ幅の不織布で覆い、ピンと張らずにたるませて周囲をUピンなどで押さえて張ります。小松菜などは、生育しながら不織布を持ち上げて収穫に至るという便利なものです。収穫まで張りっぱなしで虫もつかず、透光性も十分でよく生育します。

寒い時期には保温効果もあります。きれいな菜っ葉が収穫できました。プランター栽培などでも、不織布をかけるだけで虫もつかないきれいな菜っ葉が収穫できます。
冬に溝底播種(はしゅ)でダイコンなどをまいたとき、上に不織布をべたがけすると、溝との間に微気象空間ができます。不織布なしと比べ温度、湿度がより安定し、初期生育が良くなります。
今年は、セイコー農園でトウモロコシの早まきをしています。2月中旬にセルトレーにまいた苗を植え、ポリトンネルを張ったのですが、まだ寒い時期なので一部葉が枯れたところがあり、枯れた場所にはすぐに次の苗を補植しました。周囲のプロ農家も早まきのトウモロコシをどんどん植え始めました。

プロ農家のやり方を見ると、ユーラックカンキトンネルの中に不織布がべたがけしてありました。それを見て、「そうだ! ここで不織布を利用しなきゃ!」と早速、ホームセンターに走りました。幅120センチの200メートル巻きの不織布を買ってきました。
補植した所と新しく植えた所には、すでにトンネルが張ってあるので、端からトンネルの中に不織布を通して、真綿の布団をかけるようにトウモロコシの上に不織布をかけました。春まきでダイコン「紅くるり」をまいた畝にもかけました。昨年は株間15センチの密植でしたが、今年は株間を30センチ取って大きく太らせてみようと栽培中です。中まで真っ赤なダイコンが大きくなるのが楽しみです。
最近あまり使っていなかった不織布ですが、農業資材としての利用価値は高いので、今後は積極的に使いたいところです。(愛菜家・福田俊)
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