JAはスモモの生産量日本一の産地で、昨年は約1200トンを出荷した。
JAが組合員に増植や改植を勧めているのが「貴陽」だ。JA管内で生まれ、1996年に品種登録された。大玉果と食味の良さで贈答品として人気が高く、他の品種と比べ市場価格も高値で取引される。
一方で、雨で果実が割れやすく、裂果防止に傘紙をかける必要があることや、結実しにくいため人工授粉が4、5回必要で、栽培に手間がかかる。加えて管内は強風が吹くため、果実が風で落ちてしまったり、葉でこすれて傷が付いてしまったりといった被害も発生している。栽培面の難しさ、結実の不安定さから、生産量は徐々に減少傾向にある。
そこでJAが10年ほど前から対策として進めてきたのが、スモモに多い立ち木栽培ではなく、ブドウなどに多い棚栽培とそれを覆う雨よけハウス施設だ。金属価格の高騰などによる初期投資の負担が大きく、当初は両方導入する農家はほとんどいなかった。

JAは南アルプス市と協力し、「貴陽」を含む奨励品種の果樹苗木を対象に、助成する果樹振興事業も行っている。事業を開始した09年からこれまで、計2773本の「貴陽」の優良苗木を組合員に供給してきた。
JA営農経済部の手塚英男次長は「最高品質の貴陽を継続的に生産できるよう、さまざまな策を講じてきた。これからも貴陽発祥の地として産地を支えていきたい」と話す。