栽培は古く紀元前から
約50品種のバラを年間で200万本生産・出荷する同社代表の熊谷和樹さん(38)は、バラの魅力を「老若男女に浸透する圧倒的な知名度」という。確かにバラの名を知らない人はまずいないだろう。その歴史は古く、農林水産・食品産業技術振興協会によれば、紀元前500年ごろに古代中国の宮殿(周王朝)の庭で始まったのが最古の栽培記録だ。同代表は「人類とともに歩んできた古い植物だから、身近な生活に取り入れてほしい」と願う。
長く持つ生け方 茎断面は斜め


同代表は「水を腐らせないことと、茎先の雑菌繁殖を防ぐことが最も重要だ」と強調する。花瓶の水は毎日替え、茎元のぬめりも洗い流し、少し切って茎の断面を新しくすることがこつだ。
フラワーシャワー 結婚式にぜひ
フラワーシャワーとは、結婚式を終えて教会から出てきた新郎新婦が花道を通るときに、招待客が花びらをまいて二人を祝福する演出だ。同代表は「香りが良く、簡単に花びらを花托(かたく)から外せるバラは、フラワーシャワー向き」という。
フラワーシャワー用花びらの作り方は同社の小松弘乃さん(38)が教えてくれた。
「一枚ずつ根元からちぎると時間がかかるので、こうすれば簡単」と小松さんはバラの花びらの真ん中よりやや下部分を優しく押さえる。もう片方の手は花の真下の花托をしっかりつまむ。次に、花を上に引き抜くような感じで引っ張ると、簡単に花びらが外れた。「結婚式の教会や式場にフラワーシャワー持ち込みが可能か問い合わせてほしい。手作りの品で新郎新婦を祝福するのが格別な思い出になるはず」と同代表。
お薦めはスプレイ 1輪でも豪華

一本の茎に約7輪の花をつけるスプレイバラが同代表の一推し。同社が今年から生産を始めたのはモーブティアラ、ジョリートレンドセッターといったボリュームたっぷりの品種で華やかな存在感にあふれる。花の間に顔をのぞかせる4、5個ほどの緑の小さなつぼみは、根を断った後に咲くことはないが「花に添える飾りとして」残した。花数の多いスプレイは摘蕾(てきらい)に手間がかかり生産・流通量は少ないが、同代表は「1輪だけで部屋の豪華なインテリアになるので、見かけたらぜひ手に取ってほしい」と勧める。
(齋藤花)