「福之姫」は栃木県大田原市生まれで、父「芳之国」、母の父「勝忠平」の血統。2022年度末までの精液の販売量は37万9000本弱で、現役の種雄牛の中でも全国トップクラスという。
同団は「前兆もなく、直前まで元気に過ごしていた。正直早過ぎるが、優秀な後継牛が選抜されているのが唯一の救い」と話す。現役エースの早過ぎる死に、業界には動揺が広がる。
「福之姫」を輩出した大田原市の繁殖農家・川上偉功さん(62)は「種雄牛として活躍できるよう、毎日ブラッシングして育てていた。同じ栃木生まれの『芳之国』や仲間がいたからこそ生まれた牛。まだまだこれからも頑張ってほしかった」と思いを話した。
国内最大規模の全国肉用牛枝肉共励会で産子が2連覇し、全国的な人気を誇る「福之姫」の急死によって今後、“一強”の側面が強かった種雄牛の勢力図にも変化が生じそうだ。
主要市場での22年の種雄牛別の取引頭数で、「福之姫」産子がトップだった北海道の産地関係者は「すぐに産子の上場頭数が減ることはないが、影響はある。今後、次世代のエース候補の選定が加速する」とみる。
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