能登北部に位置する志賀、能登わかば、内浦町、のとの4JAと携帯電話を含む通信環境が十分でなく、JA県連の西沢耕一会長(県中央会長)は「まず被害状況の確認を急ぐ。各JAと組合員を最大限支えていく」と話した。(石川通信部・町出景利)
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能登半島地震の被災地では水道や電気が止まり、農家は家畜に与える飲み水や餌の確保に苦慮している。備蓄も残りわずかで、窮地に立たされている。県のブランド和牛「能登牛」を1000頭飼養する能登牧場(能登町)は断水の影響で牛の飲み水が底をつきかけている。平林将専務は「十分な水を与えられず、牛が水を求めて鳴き声を上げている」と現状を明かす。
地震発生直後から従業員ら4人と、20リットルのポリタンクを使い、人力で貯水タンクから牛舎に水を運んでいる。30キロ離れた自宅には戻らず、凍える寒さの中、牧場で寝泊まりし牛を世話する。残された水は3日午後2時時点で10トンの貯水タンクに3分の1ほど。同牧場は1日10トンの飲み水が必要で、3日中にはなくなるという。平林専務は「少しずつ与えてきたが、なくなりそうだ。牧草も足りない」と途方に暮れる。
牛130頭を飼養する中谷内畜産(珠洲市)は、外部につながる道路が分断され、牛と牧場に隣接する自宅にいる家族4人が孤立状態だ。中谷内昭子さんは「孤立状態で見通しが立たない」と話す。同牧場も、牛に与える飲み水や餌の不足が深刻だ。飲み水の代わりに雪を与えてしのいでいる。近隣の酪農家も同様だという。(北坂公紀、島津爽穂)