政府提出の食料・農業・農村基本法改正案が26日の衆院本会議で審議入りした。岸田文雄首相は、食料安全保障の確立に向け、食料の価格形成で「国内外の資材費、人件費の恒常的なコストが考慮されることが重要だ」と強調。「こうした仕組みについて法制化も視野に検討していく」と表明した。自民党の江藤拓氏への答弁。
改正案は、食料の価格形成を巡り「持続的な供給に要する合理的な費用」を考慮する考え方を盛り込む。代表質問で野党は「消費者の家計が厳しい中、再生産を可能とする所得水準に見合う価格が実現する保証はない」(立憲民主党の神谷裕氏)などと指摘。所得補償など農家への直接的な支援も合わせて実施するよう求めた。
一方、岸田首相は、補償を織り込んで取引価格が低く抑えられる懸念があると強調。「生産性や付加価値の向上、適正な価格形成の推進を基本に、収入保険制度などの経営安定対策を適切に講じながら所得の向上を図っていく」とした。
野党からは、食料自給率の低迷や農村人口の減少などを踏まえ、現行法下の農政を検証するよう求める声も相次いだ。岸田首相は、農水省の審議会で既に検証したと答弁した。
同日は衆院農林水産委員会でも与党による質疑を実施。今後は同委員会に舞台を移し、論戦が交わされる。
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