
管内で小麦やテンサイ、特産の「ところピンクにんにく」などを約35ヘクタールで栽培する山内英之さん(52)は「貝殻由来の有機石灰は、排水性の高い良い土づくりができる。地域のホタテの貝殻を使っておいしい作物ができるのは素晴らしいこと。今後も使い続けたい」と語る。
- ホタテの貝殻を地域資源として有効活用
- 町内の工場で製造し、農家に安価に提供
- 有機石灰で消費者に安全・安心を提供
山内さんは農地に有機石灰を毎年10アール当たり100~180キロ散布。散布は輪作体系に合わせて3年に1回で、収量は全道平均よりも高い水準を確保しているという。
JAも、有機石灰の利用を推進している。ニンニクの他、タマネギや小豆など、「TOKORO型クリーン農業」として安全・安心なイメージのPRに取り組んでいる。


同公社の金澤和美専務は「有機石灰は管内の農家の大半が利用している。今後も安定供給し、循環型農業を維持する」と話す。
粒状開発、効率アップ
有機石灰は粉状のため、散布機を使っても散布幅が3メートル程度にとどまる。このため同公社は、北見市の北見工業大学と連携し、テンサイの製糖過程で発生する廃蜜糖を使って有機石灰を粒状にする技術を開発。これにより散布機を使えば30メートルの幅で散布が可能となり、作業効率が向上した。
常呂町以外からも有機石灰の引き合いが出てきており、近くの津別町の農家がタマネギ栽培でこれを活用した実証試験に着手。実証に向けたクラウドファンディングでは100万円の目標金額を達成するなど、常呂町から始まったホタテ貝殻を有効活用した取り組みに注目が集まっている。
(関竜之介)